皆さん、くず餅というと、どのようなお菓子を思い浮かべますか?
私が思い浮かぶのは、葛粉を練り上げて作る、
半透明でぷるんぷるんとした、見た目がわらび餅のようなスイーツです。
私は九州出身で関西寄りなので、
くず餅といえばこれが当たり前だったのですが、
先日池上本門寺で頂いた関東のくず餅は、
白濁したお餅のような物体を、三角形に切った別物だったのです。
私はこのことに、大変驚きました!!
関西のくず餅は葛粉を練り上げてつくる「葛餅」
吉野の葛餅。 pic.twitter.com/oVsZb86aTq
— 春鹿🦌(本名やない) (@HARURADWIMPS) 2018年10月11日
関西圏の葛餅といえば、
クズという名前の 植物 のでんぷんの粉が使われています。
有名なのは「吉野葛」という、奈良県吉野産の葛粉です。
本葛で作る 葛粉は、大変 高価ですが、体を温める作用が 強く、
私もマクロビスイーツ作りには、よく使っていました。
他にも くずきりや 葛湯など 色々な 用途で 使われます。
葛粉と水を混ぜて練り上げると、
独特の ぷるんぷるんとした弾力が出て、透き通ったお餅が 出来上がります。
吉野葛のできたて葛餅と抹茶 pic.twitter.com/pX9k5f21vP
— 三橋和美 (@Supermoon0) 2018年11月23日
関東のくず餅 は和菓子唯一の発酵食品「久寿餅」
一方で、東京都大田区池上にあったくず餅は、漢字の表記からして、違いました。
久寿と書いて「クズ」と呼ぶのです。
単なる当て字かと思っていたのですが、そうではありません。
関東のくず餅には葛粉が使われていないのです。
では一体何が使われているかと言うと、
関東のくず餅は小麦粉 を乳酸菌で発酵させた小麦でんぷんで 作っているのだそうです。
くず餅がまさかの発酵食品だとは、私は腰を抜かしそうに驚いてしまいました。
東京の江東区にある船橋屋というお店では、発酵に450日もかけるのだとか。
独特の発酵香や酸味が出るため、小麦澱粉に お湯を加えて 蒸すのだそうです。
長期間、他の菌にやられずに 発酵を続けられたのは
「パラカゼイ種」という強い 乳酸菌 の作用によるものなのだそう。
時間と手間のかかる伝統的な製法で作られたくず餅 の製造所は、
どんどん減っていっているのだそうです。
大変不思議なことに、
普通の小麦澱粉を 蒸しても、ただの糊のようになるのだそうですが、
発酵させた小麦でんぷんを蒸すと、もちもちの食感になるのだそうですよ。
だから発酵という過程が大切なのですね。
くず餅はまずい?酸っぱい?腐敗と勘違いする人続出
しかし最近ではこの事実を知らない人が多いため、
発酵の過程で出てくる酸味が強いと「傷んでいる」とか「腐ってる」と言う
勘違いによるクレームや問い合わせが来ることもあるのだそうです。
葛餅にも時代の変化がありなるべく独特のクセは抑えるようになってきているのだとか。
私が購入したくず餅も、腐っているわけではないという注意書きが書いてありました。
何気なく食べた久寿餅がこのように作られていたとは驚きました!!!
一体誰が思いついたんだろう? と思ったのですが、
関東のくず餅のルーツは、江戸時代に洪水で水に浸かった小麦を
加熱して食べたところから始まったのだとか。 (偶然の産物か?)
異臭を放っていた小麦粉をさらに長く発酵させて食べるなんて、
初めて試した方はかなりのチャレンジャーですね!!
その発祥としては 先日初詣に行った池上本門寺のある、「池田屋」と言われています。
ここは 発酵した 小麦を水で洗って 火を通す調理法 で作り始めたのですが、
それを教えたのは九州出身の焼酎発酵技術を持つ旅人だったのだそうですよ。
色々な説があるのでどれが正しいかどうかはわからないのですが、
とても興味深いお話ですよね。
基本的にこの小麦の発酵タイプのくず餅は
東京・千葉・神奈川のエリアにしかないようですが
ネットでしたら購入することができそうです。
同じ名前なのに 全く 違う 物ができるなんて 驚きでした!!
でも私はやっぱり関西の葛餅の方が好みかな~(=゚ω゚)ノ
それでは!
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